2019年9月29日日曜日

Vegas Pro 17のIntel QSVレンダリングで試行錯誤

前回記事にしたASRock DeskMini(Z370)はNVIDIA Geforce GTX1060 搭載で本格編集に対応できるので家庭内で使用していたMiniITXベースのPCと交代して現在はリビングに持ち込み使用しており小スペースで重宝しています。
今回はこのPCで「Vegas Pro 17(Build 321)」によるH.264/AVC書き出し使用可能なレンダラーであるMainconcept AVC、Intel QSV、 NVIDIA NVENCのH.264レンダリングについて、であれこれ試行錯誤をしたのをまとめてみました。
Vegas Pro 17早くもBuild 321へアップデートされベジエツールのモーショントラッキングが遠近法の変化を追跡できるように強化されるなど12個の新機能や数多くのバグが修正されています。

検証に使用するビデオクリップはHUAWEI P30で撮影した4K/30p H.265(HEVC)を使用し、クリップの長さ2分のプロジェクトを作成し4K/30p H.264でレンダリングに要する時間とCPU、GPUの使用状況などを比較してみました。

HUAWEY P30のビデオモードは4K/30p H.265(HEVC)はプロファイル:Mainプロファイル@L5、オーバルビットレート : 21.5 Mbps、モード: VFR(可変フレームレイト) モード、音声はサンプルレート: 48.0 KHz、ビットレート : 192 Kbps CBR 2チャンネル収録で4K動画が撮影できる安価なデジカメを凌駕する画質ですが、LUMIX GH5の画質に目が慣れているせいか細かい描写で粗が見受けられます。
レンズ、センサーサイズを考慮すれば画質面でミラーレス一眼と比較すること自体がナンセンスでスマホのサイズで数ミリのレンズやセンサーサイズでよくぞこれだけの写真や動画が撮影出ること自体が驚異的なことでスマホの土俵上では文句なく横綱級の描写は間違いないと確信しています。
HUAWEYに関し色々と懸念の声も聞かれる中でも、P30も価格もこなれ6万少々で購入できるようになり特に超広角レンズの魅力に惹かれ酔った勢いでポチッてしまい相変わらずLEICAレンズの響きに弱い自分がいます。
静止画の描写性能はネットの噂通りで動画も4Kサイズから手振れ補正が効いておりその分画角は望遠寄りになりますが、こんにゃく現象もよく補正されておりP10と比較ならないくらの進化を感じています。

Vegas Pro 17によるレンダリングのための準備事項
Vegas Pro 17によるレンダリングでPCI Expressに装着したNVIDIA製GPUをハードウエアエンコーダーとしてIntelのUHDグラフィック搭載のCPU(IGPU)をハードウエアデコーダーとして動作させると重たい4K H.264 H.265などのレンダリングに威力を発揮します。
この恩恵を受けるためにマザーボードのBIOS設定でIGPUのモニター出力をONにすればIGPU側のHDMI端子とモニターを接続しなくてもレンダリング時にIGPUでデコードが動作します。
しかしASRock DeskMini(Z370)の場合は、この設定ではIGPUでデコードは全く動作しません!?
この設定が厄介で沼にはまってしまいました・・
試行錯誤の末「チップセット」の項目は「プライマリーグラフィック」を「PCI Express」に設定し

次に「IGPUマルチモニター出力」の項目も「有効」にする必要があり

更にモニター1台で使用する場合はHDMIケーブルは右側のPCI ExpressではなくIGPUモニター側に接続し、マルチディスプレイの場合もIGPU側をメイン画面に設定しないとレンダリング時にIGPUがデコーダーとして動作してくれません。

レンダリング
「ファイル」メニュー「名前を付けてレンダリング」で「MAGIX AVC/AAC MP4」「☆インターネット UHD 2160p 29.97 fps」をカスタマイズしました。

エンコード品質の差が分かりやすいように映像はあえて低ビットレート8Mbs-10Mbsと低く設定しました。

Intel QSV
タスクマネージャーで動作状況をみるとIGPUは約50%でデコーダーとして動作しており、一方CPU使用率は80%程度で4.2GHz前後で駆動しています。
レンダリングは1分41秒で実時間以内で完走し、重たいとされるH.265からH.264の処理にしたら爆速ともいえるかもしれません?

Maniconcept AVC
IGPUは17%前後デコーダーとして動作し、CPUの使用率は100%で3.75GHz前後で駆動しており冷却ファンは爆音です。

レンダリングは4分40秒で完走し実時間の2倍以上要しました。

NVIDIA NVENC
プリセットは高品質を選択、Vegas Pro 17(Build 321)からロスレスが追加されています。

RCモードは高品質を選択しましたNVENCには豊富なパラメータが選択できます。

GPU1(NVIDIA)は波がありますが平均40%エンコードで動作しCPUの4.2GHz前後で動作しています。

一方IGPUの動作として波がありますが、この波形はエンコードとデコードを交互に繰り返しているのではないかと想像します。

レンダリング時間は1分51秒で実時間以内で完走です。

画質比較
MAGIX AVC/AAC MP4はGOP25フレーム、Mフレームは3フレーム、あえて低ビットレートによるレンダリング時間・画質を再生しながら独断で比較すると
速度:Intel QSV>NVENC>Mainconcept AVC
画質:Mainconcept AVC>NVENC>Intel QSV
以上の順で、さすがにここまでビットレートを落とすとシーンによってIntel QSVは手振れが発生したフレームにブロックノイズが発生し、NVENCは映像に濃淡が発生しチラついてしまいました、Mainconcept AVCはこれらの現象はなくレンダリングに時間要するだけに健闘していると感じました。
しかし、いずれのエンコーダでも平均15Mbs上限を20Mbs程度にビットレートを上げたら
HUAWEI P30で撮影したクリップであればオリジナルと区別がつかないほどの画質です。

以上、色々試しましたがIGPUのデコードでレンダリングで時間節約だけのためにNVIDIAの編集環境を犠牲にするのも本末転倒、またレンダリングのたびにHDMI端子を変更するのもどうかと思われる部分もあります。
ちなみにPCI Express側にHDMIケーブルに接続し同様の設定でNVENCでレンダリングすると2分46秒で実時間の1.5倍程度で完走し個人的にはベストの選択ではないかと考えています。

Intel Core i?シリーズはウイキペディアに記述されているとおり世代を重ねるたびに映像の符号化が誕生するたびに様々なビデオフォーマットのデコード(解凍)エンコード(圧縮)をCPUに組み込まれたハードウエアの対応しています。

これはIGPUとPCI ExpressにNVIDIA製のNEMIC対応GPUを搭載した他のPC環境でも同じように動作するはずで長時間のエンコードが強いられるケースでは知ってて損はないと思います。
今回も、ひねくれASRock DeskMini(Z370)とVegas Pro 17に関してあくまで個人的な独特な環境で独断のメモ書きでした。

1 件のコメント:

  1. コメント失礼します。
    当方、簡単な編集しかしたことがない素人なので、レビューとても参考になりました。
    私も設定を色々試していましたら、ユーザー設定のファイルI/Oタブの下の方の「使用するハードウェア」をNVDECに変更したら若干ですがレンダリングが速くなりました。もしQSVの設定のままでしたら変更した場合の結果に興味がありますので、一度検証していただけるとありがたいです^-^

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