Vegas Pro 13に関してはアプリの墓場的存在のソースほにゃなら様から(失礼)信じられないような投げ売り価格で販売され出した時から個人的に「終わった!」と思いました。
Vegas Pro 14に関する新たなサイトを見てもVegas Pro 13ユーザーの優待アップグレードのアナウンスもなく、Vegas Pro 13の起動画面から期間限定でアップグレードのアナウンスがあったらしいのですが、新調したPCにVegas Pro 13は鼻っからインストールしていないので期間限定のアップグレードのチャンスと2016年7月31日までMAGIX社の直販サイトで199ユーロでVegas Pro 14の無償アップグレード権利が付いたVegas Pro 13を直販しているキャンペーンは知っていましたが、安く入手する両方のチャンスを逃してしまいました。
Vrgas Pro 13の開発がストップしたことを知った時点で業務用途で手を引いたとはいえ、過去には散々お世話になり、TipsをばらまいたNLEソフトでもあり、墓場からゾンビみたいに復活した最新バージョンの出来栄えも気になるのも事実、数年ぶりにバージョンアップしたVegas Pro 14について英語の体験版をインストールして、どれだけ進化したか試してみたくなりました。
以下、個人的な環境と、あくまで個人の独断と偏見です。
上位互換だから当たり前の話ですが、旧バージョンのプロジェクトは問題なく読めました。
◆ 新機能について
・スマートアップスケール
4KとHDサイズを混在編集に威力を発揮しそうな機能で映像品質を損なうことなくアップスケールやインタレースを解除して編集できるとされていますが、早い話4KプロジェクトにHDクリップを配置したら自動的にスケールアップするもので、HDソースをアップスケールして、いかにしてうまくごまかすか?この機能を使用するには対応したNVIDIA、 AMD/ATI、Intel GPUなどが必要です。
・ビネットエフェクトの追加
ビネットエフェクトは周辺光量を暗くしたり好みの色にするエフェクトで標準で有りそうで無かったエフェクトです。
・ハイフレームレイトに対応
ハイフレームレートとは、動画1秒あたりのフレーム数(fps)を上げることで映画は長い間1秒あたりのフレーム数(fps)24fpsが標準規格でカクカク感をモーションブラーでごまかしていた感は否めませんでしたが、近年の映画はデジタル化が進みフレームレートを倍にした48fpsや60fpsが出始め一応プロ用ソフトであるからには対応して当然かもしれません。
・トリマーにホバースクラブを追加
・最新の映像ハードウエアに対応
開発がストップしている間にBlackMagic DesignからはDeckLink 4K Extreme 12G、4K Pro、4K Extreme、Studio 4K、SDI 4K、HD Extremeなどのデジタルシネマキャプチャーカード
Intensity Shuttle、Pro 4Kや Proキャプチャーカード
UltraStudio 4K Extreme、4K、Pro、SDI、Express、Mini MonitorやMini Recorderなどに対応しました。
・UIのアイコンを一部変更
・HEVC/H265の読み書きに対応
・QuickTimeなしでProRes422ファイルをネイティブ読み込みに対応
・イベントベロシティの最大速度の変更
以上、新機能を実際に試して知ったかぶりして図を入れて記事にしようとした書きかけの内容ですが、待てよ!様々な新機能の項目を検証する前に・・確認することがありました、それは・・
Vegas Pro 13でNVIDIAのGPUを使用してDVDオーサリング向けのMPEG-2でレンダリングするとプログラムがコケて完走しないケースです。
新機能の検証の前に肝心かなめのバグは解消されているのか?放置されているのか?そもそもの立場で確かめる必要があると考えました。
レンダリングが完走しなかったプロジェクトは証拠としてソースを含め腐るほど保存していたのでプロジェクトをいくつかレンダリングしてみました。
レンダリングに使用したプロジェクトはJPEGファイルを使用したプロフィールビデオ、Panasonic GH3で撮影したQuickTimeラッピングの720/60pのMOVファイルとフォトショップで作成したローリングクレジットを使用した撮って出しのエンドロール、一番上の画像で少し手の込んだ披露宴演出のプロジェクトです。
環境設定のビデオタブのGPUアクセラレーションをオンにしておきます。念のために言っておくと、この項目をオフにすれば問題なくレンダリングは完走しますが、如何せん時間がかか過ぎます。
クラッシュを起こすであろうDVDオーサリング向けの出力設定です。
やはりVegas Pro 14がクラッシュしていずれのプロジェクトもNVDIAのGPUではレンダリングが完走しない残念な結果になりPro 14への熱が一気に冷めてしまいました。
ちなみにIntelのCPUに内臓のGPUのOpen CLの設定では、すべてのプロジェクトはレンダリングの遅さは相変わらずですが全て完走しました。
今どき、DVD納品なんか有り得ないだろうが!と陰口を言われそうですが、田舎では、いまだにDVD納品の需要が結構あるから放置できないバグです。
試しに同じプロジェクトをメインコンセプトのH.264やSONY AVCでMP4ラッピングで書き出したらレンダリングは完走しますが、画質はさておきGOPの長さすら設定できない、相変わらず貧相なパラメータ設定画面とレンダリングの遅さ、フリーのx.264、X265、NVENCなどの充実したパラメーター指定の内容を知っているだけに、更に冷めていきそうです。
しかしソフトウエアの評価に一事が万事で語るわけもいかないので現時点の納品フォーマットで一番レンダリングが重たいと思われるXAVC 4K/60p All Intra(3,840×2,160ピクセル)のレンダリングに要する時間を Adobe Premiere Pro CC 2015.4リリースと比較してみました。
映像ソースはカラオケ発表会の収録依頼で撮影した特別ゲスト出演シーンをLumix GH4で撮影した4K/30pの2カメのソースを3分にまとめたタイムラインをレンダリングして要した時間を計測してみました。
・Vegas Pro 14
レンダリング設定は形式「Sony XAVC/XAVC S(*.mxf,*.mp4)」プリセット「XAVC Intra 3840x2160-59.94p」で当たり前のことですが規格化された映像につきパラメータは変更できません。
レンダリング中はCPUはほぼ100%、GPUも適度に使用して書き出していますが、プログレスバーはなかなか伸びてくれません・・・
レンダリングに要した時間は17分30秒で実時間の5.8倍で4GHz駆動の6コア12スレッドでも手強いフォーマットでした。
・Adobe Premiere Pro CC 2015.4
Vegas Pro 14からAAFで出力したプロジェクトを読み込みレンダリングし、設定は形式「MXF OP1a」プリセット「XAVC QFHD Intra Class300 59.94p」です。
CPUの使用率は80%平均でGPUも全く使用しなかったり使用したりの繰り返しでデコードかエンコードのどちらで使用しているかは不明ですが多分エンコードでGPUを使用していると想像します。
Adobe Media Encoder CCのログファイルのコピペですがエンコード時間は9分:26秒で実時間の3.1倍ですがVegas Pro 14と比較するとかなり早いようです。
XAVCの4K60pのLong GOPは編集で扱うときや書き出しに、くそ重たいフォーマットだと感じます。
10/03/2016 02:56:57 PM : キューが開始されました
- ソースファイル : D:\temp\Hanamizuki-comb_3.prproj
- 出力ファイル : D:\Hanamizuki-Adobe.mxf
- 使用されているプリセット : XAVC QFHD Intra Class300 59.94p
- ビデオ : 3840x2160 (1.0), 59.94 fps, プログレッシブ, 00;03;00;06
- オーディオ : 48000 Hz, 8 チャンネル, 24 ビット
- ビットレート :
- エンコード時間 : 00:09:26
10/03/2016 03:06:24 PM : ファイルが正常にエンコードされました
個人的に趣味で製作する映像と異なり曲がりなりにもクライアントから大なり小なり報酬を頂いて完成させ喜んでもらえる映像制作プロセスに最適で、より簡単、より迅速で完成度の高い映像を追及したつもりで納期も守ってきました。
Adobe Premire Proがヘボかったころは、音の扱いに優れて、3Dレイヤーや親子トラックなどAE並みの機能にしびれて数多くプロフィールビデオを制作してきましたが、使い込んでいくとNLEソフト単体では間違いなく多機能で表現力が優れたのNLEソフトだと今でも思っていますが、アドビのダイナミックリンクが充実し信頼度が増すにつれて出番が少なくなりました。
現在のところレンダリングが早いアドビ主体でシネウエア、AEの連携、オーディション、フォトショップなどを適宜使用し最終的に映像を仕上げるスタイルに落ち着いており、クライアントから喜んでもらうため、更に納期を守るために必死で試行錯誤を繰り返し未だに確固たる答えが見つかりませんが、モーショングラフィックもAE一辺倒の時代と異なり、Foundry Nuke、Black Magic Fusion
などの登場でVFXソフトはAEだけの時代ではないような気がし、時流を見据えて変化についていくしかないと考えています。
そうゆう意味でVegas Pro 14を見ると開発のストップ期間が長かっただけに映像環境の変化に乗り遅れた感は否めず、現在の映像を取り巻く環境に対応するのが手いっぱいのようで、これだ!と感じるインパクトあるバージョンアップの目玉がなく、個人的に現在の充実した環境から$599.00支払って購入する理由が見当たらず、どうやら体験版の使用だけで終わりそうで、継続使用の意思がないソフトに深入りすることをやめることにしました。
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